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京菓子辞典


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ジャンル別 歴史 主菓子 干菓子 菓子器関連 好み菓子

ジャンル別  干菓子

  干菓子
ひがし
干菓子は見て美しくそして精巧に作られて生砂糖細工や有平糖にしても地方で見られないよさがある。

⇒ 主菓子


  若松煎餅
わかまつせんべい
松は老いも若きもめでたきものとして尊ばれ、松の幸先を願い長寿を祈る。
種煎餅に若松の焼印を押し、味噌餡を挟んで新春を祝う品である。


  熨斗結
のしむすび
結びを睦みに、熨斗と掛け、紅白の有平を結び、熨斗結として新年や祝いの取り合わせに使われる。


  結柳
むすびやなぎ
正月の床の間、または点前隅の楊枝柱にある柳掛釘に青竹の花入をかけ、白玉椿などそえて枝垂柳をさす。
柳は陽気を招くとして挿し、その枝を一つ結んで畳にひきずるほど長いものが喜ばれる。
有平の青く染めたものを結柳の輪にして、白胡麻を散らし、芽出し柳を思わせる菓子。


  福寿
ふくじゅ
打物で、福・寿の二種の文字が浮き出されている祝い菓子である。松の内に家々を訪れる祝言は福寿の喜びである。



  勅題菓子
ちょくだいがし
その年の勅題に因んだ菓子が、主菓子、干菓子ともに作られる。
また、その年の干支を織り込んだものなどが数々ある。
昔は正月の前になると菓子屋が各種の美しい正月菓子の注文を取りに家々を回っていた。
各店のアイデアで新春の菓子が作られるわけであるが、各戸においても正月の取り合わせに、蔵のお道具の取り合わせとともに、お料理、お菓子の組み合わせをしていた。


  七宝
しっぽう
宝づくしの七宝を打物にしたすっきりした菓子である。


  唐松
からまつ
若緑色の唐松を表した打物で、美しいさえた色の丸型のものである。



  切山椒
まんだいむすび
千代結びは蝶結び(稚児結び)であるが、万代結びの結び方はちょっと変わっている。白の有平で斜めに赤筋が入る。
裏千家十一代 玄々斎好。


  千代結
ちよむすび
蝶結び(稚児結び)にしたもので、赤と白や青と白の染め合わせた有平である。


  窓の梅山
まどのうめ
窓前香梅花の語句を想わせる。
吉野窓に梅花を浮き出した打物である。
冬至のころから咲く冬至梅は、季節的には正月ごろ咲き初める早咲きの梅である。


  笹むすび
ささむすび
熨斗結・千代結・万代結とともに結びは縁起よく喜ばれる。
笹むすびは他のものとちがって青と白のひきたつ色ですっきりとした美しさがある。


  窓の梅
まどのうめ
 

  つなぎ七宝
つなぎしっぽう
七宝をつなぎ、その内にいろいろ宝づくしが織り込まれ、型も変わっていて、取り合わすものによって面白い打物である。


  折鶴
おりづる
可愛らしい折鶴を打物にしてある。


  亀甲鶴
きっこうつる
亀甲型の打物であるが、内にいろいろの型をかえた立鶴が浮き出されている。


  常陸帯
ときわおび
昔、正月に常陸国(茨城)鹿島の神祭で行われた、男女の縁結びの際に帯をもって婚を定める「帯締め」から名づけられた。
これは、時代好みの友白髪から好まれた有平糖で、表は白、裏は紅色で、表面に筋を入れる。
裏千家十一代 玄々斎好。


  千代のこぶし
ちよのこぶし
握り拳を振り上げて、”山の横づら春風ぞ吹く”頃の季節感を現して、蕨型の中央へ青い筋を一本入れた有平である。
裏千家十一代 玄々斎好。


  二見浦
ふたみうら

餅で作った白色の種煎餅で、白砂糖のすり蜜で半分をかすり引きにして、上はしに紅で少しぼかした上品なもの。裏面は表と同様にできていて、反対に蜜をひく。
裏千家十一代 玄々斎好。


  筑羽根
つくばね
外は黄色の煎餅種。それに砂糖をかけ、内に求肥を入れる。
初期の茶菓子にある。


  ねじり棒
ねじりぼう
紅白のねじりの有平糖を、社の鈴の緒に見立てたもの。
節分にも初午にも取合わせられる。


  梅鉢
うめばち
紋どころであるが、雅楽の太鼓の桴(ばち)の頭の玉に似ていて五本集めたところから梅桴の意でもある。


  里の曙
さとのあけぼの
落雁仕立てで、淡紅色。上部へ黒胡麻を散らす。
裏千家十三代 圓能斎好。


  山路の梅
やまぢのうめ
白の落雁の上部へ大徳寺納豆を散らして、梅に見立てる。
裏千家十三代 圓能斎好。


  四季糖
しきとう
白雪糖製で、紅白二種あり、2cm角で高さ1.2cm。二個をもって一組とする。
裏千家十一代 玄々斎好みとして干菓子中第一位のものであって、一種の菓子を以って銘柄により四季に応用できる。
春は咲分(=梅花)、夏は夕景色(=夕日の空)、秋は籬(まがき)の友(=菊)と称し、冬は室の花(=寒牡丹)と名づけて使い分けられる。


  絵馬煎餅
えませんべい
種煎餅に砂糖蜜をつけ、玉の絵を焼いている。
稲荷山に因んだものである。


  鈴の緒
すずのお
社頭の鈴の緒を模し、ねじり棒とは趣を変えた紅白の有平細工である。


  ねじ梅
ねじうめ
梅を愛する心は万葉の昔からあり、
雪の色を奪ひて咲ける梅の花 いま盛なり見む人もがも
などと詠まれ、花の兄、此の花、好文木、未開紅の別名も菓子の銘にとり入れ扱われている。
この菓子は打物で、紅梅と白梅と両方がつくられる。
寒梅粉の打物に梅肉を入れる場合もあるが、ねじ梅の型をした紅白の二種を打ったものである。


  笹の葉
ささのは
有平の葉は緑と白の細工であるが、ひねりかたでいろいろの形が作られる。千代結の緑白も、やはり笹を連想させる。


  霞三盆
あられさんぼん
玉霰の美林のように、和三盆を小粒にして霰様に仕上げたもの。


  こぼれ梅
こぼれうめめ
寒梅粉の打物で、梅花の裏面あり表面ありと、とりどりの花が紅白の梅に作られ、こぼれ梅を連想するような美しいものである。


  松葉
まつば
緑色で松葉型を有平糖で作る。


  枯松葉
かれまつば
茶褐色の松葉を有平糖で作る。緑の松葉と違った趣で、茶席に適した味わいがある。
同じ材料でも、店によっていろいろの形がある。


  一休寺
いっきゅうじ
豆の粉の香ばしい味と大徳寺納豆(味噌納豆)をちらせた、通い路風の干菓子である。
これに枯松葉をそえれば、敷松葉の路地を感じさせる。


  菜花の月
さいかのつき
種煎餅を黄色く染めたものに味味噌を挟んだもので、春の野辺のおぼろ月を連想させる。


  貝尽し
かいづくし
桜貝、帆立貝など、いろいろな貝の形を写した小さい可愛らしい干菓子で、雛の節句や潮干狩りなどの取り合わせに面白い。


  早蕨
さわらび
青色の州浜製。長さ5cm、厚さ5mm、高さ1cmほどの、ざんぐりとした蕨型である。
裏千家十一代 玄々斎好。


  青柳
あおやぎ
青色の中に三、四本の白細筋を入れ、中ほどで一つ捻った6cmほどの長さの有平。


  蕨結び
わらびむすび
青く染めた有平を蕨形にまげてある。


  土筆
つくし
有平細工で、土筆の茎を作り、頭部に褐色の有平をつけ、その部分には芥子がふってある。


  稚児桜
ちござくら
親指の頭ほどの丸い有平を紅白の捻じに染め分けて、真中がへこませてある。銘のごとく、可愛らしい有平である。


 
ちょう
弥生に続き、蝶は型を変えて出される。打物、片栗にかぎらず有平糖でもできており、春になくてはならない干菓子で、取り合わせによってはいろいろ組み合わされる。


  紫雲英
れんげ
三、四月頃、田んぼや畦に咲きあふれる紅紫色の小花が紫雲英(れんげ)の花である。紫雲英は有平細工で表現する。


  卯の花結
うのはなむすび
青と白の有平糖で仕上げ、卯の花の白い花を連想したものである。


  たづな


  沢潟
おもだか
 

 
あおい
 

  あやめ草
あやめそう
 

 
いかだ
 

 
いわ
 

  青楓
あおかえで
 

 
あし
 

  渦落雁
うずらくがん
 

  糸巻
いとまき
 

 
うず
 

  荒磯
あらいそ
 

  団扇
うちわ
 

  枝豆(月見豆)
えだまめ
(つきみまめ)
 

 

芋の葉
いものは

 

  稲穂
いなほ
 

  稲葉
いなば
 

  銀杏黄葉
いちょうもみじ
 

  うす氷
うすごおり
 

 
くつわ
 

 
かに
 

  渓流
けいりゅう
 

  蜻蛉
かげろう
 

  かえで


  観世水
かんぜみず
白有平で水の形に作る。なるべく細かく作るのがよい。
裏千家十一代 玄々斎好。


  琥珀糖
こはくとう
琥白糖。寒天と砂糖に水飴を加えて練り上げる。錦玉ともいう。
裏千家十一代 玄々斎好。
精中好みの中にもある。


  錦玉
きんぎょく
→ 琥珀糖


 
かもめ
 

  雲の峯
くものみね
 

  桐一葉
きりいちよう
 

  小芋
こいも
 

  雁来紅
がんらいこう
 

  栗の穂
くりのほ
 

  小菊
こぎく
 

  菊の葉
きくのは
 

  通い路
かよいぢ
 

  光琳菊
こうりんぎく
 

  菊水
きくすい
 

  熊笹
くまざさ
 

  菖蒲
しょうぶ
 

  菖蒲皮
しょうぶひ
 

  杜鵑花
さつき
 

  白鷺
しろさぎ
 

  すげ笠
すげがさ
 

  清流
せいりゅう
 

  聚楽
じゅらく
 

  睡蓮
すいれん
 

 
すずめ
 

  しめじ


  笹結び
ささむすび
 

  雪華
せっか
 

  瀧煎餅
たきせんべい
 

  竹結び
たけむすび
 

  千鳥
ちどり
 

  巴・木瓜
ともえ・きうり
 

  止舟
しせん
 

  玉菊
たまぎく
 

  照葉
てりは
 

  蔦紅葉
つたもみじ
 

 
ともえ
 

  撫子
なでしこ
 

  夏河原
なつがわら
 

  夏木立
なつこだち
 

  夏の露
なつのつゆ
 

  納涼
のうりょう
 

  なでしこ



  夏の海
なつのうみ
 

  鳴子
なるこ
鳴子とは秋に刈り取った稲を野辺で干す際に、米をついばみに来る雀を追い払うためのもの。


  吹流煎餅
ふきながしせんべい
 

  花橘
はなたちばな
 

  時鳥煎餅
ほととぎすせんべい
 

  紅だすき
べにすだき
 

  蓮池
はすいけ
 

  瓢(夕顔)
ひさご(ゆうがお)
 

  ひさご


  星月夜
ほしつきよ
 

  蓮の葉
はすのは
 

  蓮房
はすふさ
 

  初雁煎餅
はつかりせんべい
 

  藤袴
ふじばかま
 

  吹き寄せ
ふきよせ
 

  初霜
はつしも
 

 
みず
 

  水草
みずくさ
 

  水面
みなも
 

  村雀
むらすずめ
 

  もみじ


  松ケ枝
まつかさ
 

  山路の菊
やまぢのきく
 

  山路
やまぢ
 

  雪輪
ゆきわ
 

  落葉
らくよう
 

  友白髪
ともしらが
有平糖製の平形物であって、白無地の筋入りである。この形の有平は江戸時代に多い種類である。


  人参糖
にんじんとう
一燈ころからある、黄色の有平を細巻きにしたもの。


  竹ながし
たけながし
有平をねじた細長いもので、あっさりとしたデザインに茶味のある銘がついている。色は黄色である。


  好月
こうげつ
少し変わった干菓子で、白餅粉煎餅で茶色の霞が入れてあり、大きさが十五センチもある大型のものと記録され、嘉永四(1851)年ころのものである。


  紅蕨
べにわらび
紅色の有平。長さおよそ三センチで、やや太いほうがよく、美しい。
裏千家十代 柏叟好。


  半月煎餅
はんげつせんべい
小麦煎餅で、直径6cmほどである。二枚合わせとし、間に小豆餡を薄く塗り挟むのである。外部へ粉砂糖をつける。ほかに白きんとん、紅きんとんなどもある。
裏千家十一代 玄々斎好。


  折松葉
おれまつば
松葉の形。黄色の有平。なるべく細く作るのがよい。
裏千家十一代 玄々斎好。


  稍の錦
しょうのにしき
楓葉形で、黄色の落雁製。
裏千家十一代 玄々斎好。


  八束穂
やつかほ
秋の稔りを見立てたもので、黄色落雁仕上げである。
裏千家十一代 玄々斎好。


  さざれ石
さざれいし
漉し餡を丸くして、外に微塵に砕いた氷砂糖をまぶしたものである。


  如心松葉
じょしんまつば
蕎麦粉と肉桂・砂糖を原料として、長さ7.5cm、太さ2mmほどに焼き上げ、芥子を振りかけてある。香ばしい中に淡い甘味がある。
表千家七代 如心斎好。


  三楽
みらく
葛または片栗製の打物である。白と淡紅の二種となっており、月と花が浮出しとなる。直径はおよそ3cmほどある。
表千家十代 吸江斎好。


  静海
せいかい
落雁仕立てで、白と水色の二種がある。
表千家十一代 碌々斎好。


  ツボツボ
鼠色の種煎餅で、白いところは砂糖引きである。裏面はその反対に、同様の砂糖引きをする。
表千家十一代 碌々斎好。


  鱗づる
うろこづる
三つの鱗鶴模様が集まった意匠で、紅白二種あって、表千家の年々行事に使われる。鶴の形が瓢型に見える落雁仕立て。表千家十二代 惺斎が金沢で好み、ほかに団扇型もある。


  松風
まつかぜ
更衣生地仕立てで、源氏香の図形があり、長方形の型物。栗餡を入れる。
武者小路千家十一代 一指斎好。


  名取川
なとりがわ
やや長方形の落雁製で、有名な名取川の模様が浮き出しとなっている。
奥州名取川から産する埋木(うもれぎ)は昔から有名で、『古今集』にも詠まれているが、武者小路千家七代 直斎はその埋木で長方形の香合を作り、見込に川浪の金蒔絵の好みができた。これを写したものである。
武者小路千家十一代 一指斎好。


  吉祥
きっしょう
二色の白雪(はくせっ)こうで、一方は肉桂入りで白胡麻を、一方には黒胡麻を散らしてあり、適当に割って出す。


参考文献:『茶菓子の話』(淡交社)、『カラー 京都の菓子』(淡交社)。すべて鈴木宗康先生著



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