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京菓子辞典


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50音別          

ジャンル別 歴史 主菓子 干菓子 菓子器関連 好み菓子

50音別  あ  

歴史
浅路飴
あさじあめ
柔らかい白求肥を小さく拍子木型に切り、白胡麻の煎ったもので全部をまぶしたもの。


  いかもち
米の粉の団子皮で濾餡を包み、饅頭型に作り上部へ黄色い糯米の染飯を散らし蒸しあげたもの。



うめ
梅花は中国の四君子の一つで、如月(二月)の代名詞であり、梅見月や梅月などの異名があるほどで、ほころびた花をめでて梅見の一服も味わいのある風景である。


  粳米
うるちまい
うるち。

  粳粉
うるちこ
⇒ 粳米

  絵馬
えま
絵馬は神社、仏閣などに祈願または報謝をするために、馬やその他のものを描いて奉納する扁額の一種で、小絵馬は庶民の個人祈願に発したものである。


主菓子 主菓子
おもがし
主菓子といわれる蒸菓子類はつくってからこれを風味するのに時間を争うほど、味の変わり易いものがかえって賞美され、生きているものであるからタイミングが必要である。
また、舌に感じるその味に重点をおくから、原料のよいことと新鮮さが条件となり、しかも器などの取り合わせに気がくばられる。

⇒ 干菓子


  旭餅
あさひもち
餡は紅色で丸く、葛製の外皮で四方より包む。葛のうちから赤く透き通っていて美しい菓子である。紅餡は十分冴えた色に作らねばならない。薄皮餅で包むものもある。
弘化三(1846)年五月に裏千家十代 認得斎柏叟が好まれたもの。銘の関係で一月にも使われるようである。


  梅衣
うめごろも
薄紅色で花のしなやかさを表現したやわ肌のような餅に漉餡を包み、手際よく折りたたまれた菓子。
淡彩色の餅菓子には茶味のある美しさがあり、梅の焼印によって引きしまる。


  鶯餅
うぐいすもち
餅をよく搗き、光が出るようになると、蜜または砂糖を食塩に混ぜ、青豆粉を振りかけて漉餡を包み、うぐいす型として端をつまんでいる。
中には青海苔粉をまぶしたものもある。
また、糯米(もちごめ)のほか、白玉粉を入れて搗き、同量の砂糖を入れて求肥状に煉り、餡を包む方法もある。


  稲荷山
いなりやま
二月のはじめの午の日、全国の稲荷神社で祭礼が行われる。それが初午である。
 この初午や二の午の茶会に、織部風の薯蕷に鳥居の焼印をつけた菓子を用いる。炮烙に玉の絵を書いて入れ、如月の取合わせにしてみると面白く、趣向の茶菓子となるだろう。


  戴餅
いただきもち
誕生日や御着帯の祝儀に宮中御儀式に用いられた白餅で、扁平で真ん中がくぼんだ上に餡をのせたもの。

⇒ 引千切


 

青柳
あおやぎ

(主菓子) 若緑のこなし製に糸目の千筋を入れて、芽ばえを感じさせるような白ごまをちらしている。

(干菓子) 青色の中に三、四本の白細筋を入れ、中ほどで一つ捻った6cmほどの長さの有平。


  岩根躑躅
いわねつつじ
黄緑のきんとんを山に見立て、冴えた紅色を散りばめた菓子である。
岩躑躅 折りもてぞせこが着し  くれない染めの色に似たれば 
と和泉式部の歌にも花の色彩を歌われており、源氏物語にも岩躑躅はみられ、季節の代表花木として愛されていたようである。
同名の菓子でも、店によって形の変わったものが数多い。


  青楓
あおかえで
練り物で漉し餡を包み、楓の形をあらわした菓子である。
楓の若葉の鮮やかな緑色は、清々しさを感じさせてくれる。


  青梅
あおうめ


 
うきぐさ


  紫陽花
あいじさい
 

  岩もる水
いわもるみず
錆のある草色に染めて煮た葛を岩に、白い部分を水に見立てたもの。本葛を使用すると透明で、青味が涼しそうである。
裏千家十三代 圓能斎好。


  天の川
あまのがわ
 

  青瓢
あおふくべ
 

  朝顔
あさがお
 

  磯辺餅
いそべもち
 

  渦汐
うずしお
 

  秋の野
あきのの
黄色と薄紫色で染分けにきんとんで仕上げたもの。中には小豆の小倉餡を入れて、少し細高く作る。
裏千家十三代 圓能斎好。


  秋の山路
あきのやまぢ
栗を蒸して肉を採り、砂糖を加えて餡に作り、少量の寒梅粉を混ぜ、村雨仕立てとしたのを、平たい小判型に押し、両面を少し焼いたもの。
裏千家十三代 圓能斎好。


  秋色
あきいろ


  亥の子餅
いのこもち


  織部饅頭
おりべまんじゅう


  うずら餅
うずらもち
求肥皮で鶉黄味餡仕立てになって、上に少し胡麻をふっている。他に求肥皮に焼すじを一の字に入れて鶉の背に見立てたものや、餅菓子などもある。
鶉はずんぐりとした形で羽色は枯草色、声がよいので籠に飼われるらしい。秋の草原にいて、よく草の下などを駆けてゆく。


  一夜草
いちやそう
桔梗のこと。
桔梗は多年生草木で、秋のあさがおは桔梗をしめしたものといわれる。
万葉集には憶良の七草の歌などがあるが、桔梗というのが今日の定説である。
新撰字鏡に桔梗を阿佐我保と訓み、昔の呼び名もある。
薄紫のういろ製。


  一葉
いちよう
秋のはじめ、風も吹かないのに大きな桐の葉がふわりと散る。
「桐一葉」または「一葉」ともいう。
こし餡を黄色、緑色に着色し、茶巾しぼりのごとくなるべく腰を低くして絞りあげ、上部を細く茎のように仕上げる。


  尾花
おばな
ススキの叢を尾花といい、山野に茂る。
九月を過ぎると棹の頂に中軸から分かれた黄褐色もしくは紫褐色の一枚枝からなる花穂を出す。
花穂は尾花と呼ばれ、秋の七草の一つに数えられる。
この菓子も小豆練切生地に青色中餡を包み、白練切を薄く延ばして、茶巾しぼりのあと小豆練切の茶色と白練切の二色をわけたもので、秋の風情の色合いがある。


  雲門
うんもん
道明寺餅の外皮を白の小倉餡で包んで仕上げ、楕円型に作る。
弘化二(1845)年巳十月、宗旦遠忌において裏千家十代 柏叟が好まれたもの。


  鱗づる
うろこづる
(主菓子) 鱗型の小豆餡をいれた薯蕷饅頭で、上部に鶴の焼印がある。
裏千家十代 柏叟好。
これは利休居士の室、宗恩女の紋所にちなみ、追悼の好みである。

(干菓子) 三つの鱗鶴模様が集まった意匠で、紅白二種あって、表千家の年々行事に使われる。鶴の形が瓢型に見える落雁仕立て。
表千家十二代 惺斎が金沢で好み、ほかに団扇型もある。


  笑くぼ
えくぼ
自然薯製で、小豆の漉し餡を入れて上部を少しくぼませ、笑くぼに見せ、朱点をつける。
裏千家十一代 玄々斎好。
京では、江戸時代、男子の元服に対して、女子が結婚の披露や里帰りに必ず笑くぼ餅を出す習いがあったようで、この種のものを最近、普通の饅頭大に作って、お福、笑顔などといって、くぼまさずに朱だけつけてあるのを見うけるが、間違いである。


  一味
いちみ
両側を味噌松風とし、中央に黒羊羹を挟んで作った棹物で、切って使用する。
裏千家十三代 圓能斎好。


  翁草
おきなぐさ
緑のこなし皮餡入りで、上に白髪芋を細く美しくつける。
堀内家十代 不仙斎好。


  卯の花巻
うのはなまき
外部は青色のこなし、内部は砂糖入りの白雪糖を用いる。渦のように巻き、小口切りとして芯に胡桃(くるみ)をつける。
堀内家十代 不仙斎好。


干菓子 折鶴
おりづる
可愛らしい折鶴を打物にしてある。


  梅鉢
うめばち
紋どころであるが、雅楽の太鼓の桴(ばち)の頭の玉に似ていて五本集めたところから梅桴の意でもある。


  絵馬煎餅
えませんべい
種煎餅に砂糖蜜をつけ、玉の絵を焼いている。
稲荷山に因んだものである。


  一休寺
いっきゅうじ
豆の粉の香ばしい味と大徳寺納豆(味噌納豆)をちらせた、通い路風の干菓子である。
これに枯松葉をそえれば、敷松葉の路地を感じさせる。


  青柳
あおやぎ
(主菓子) 若緑のこなし製に糸目の千筋を入れて、芽ばえを感じさせるような白ごまをちらしている。

(干菓子) 青色の中に三、四本の白細筋を入れ、中ほどで一つ捻った6cmほどの長さの有平。


  卯の花結
うのはなむすび
青と白の有平糖で仕上げ、卯の花の白い花を連想したものである。

  沢潟
おもだか
 

 
あおい
 

  あやめ草
あやめそう
 

 
いかだ
 

 
いわ
 

  青楓
あおかえで
 

 
あし
 

渦落雁
うずらくがん
 

  糸巻
いとまき
 

 
うず
 

  荒磯
あらいそ
 

  団扇
うちわ
 

  糸巻
いとまき
 

  枝豆(月見豆)
えだまめ(つきみまめ)


  芋の葉
いものは
 

  稲穂
いなほ
 

  稲葉
いなば
 

  銀杏黄葉
いちょうもみじ
 

  うす氷
うすこおり
 

  折松葉
おれまつば
松葉の形。黄色の有平。なるべく細く作るのがよい。
裏千家十一代 玄々斎好。


  鱗づる
うろこづる
(主菓子) 鱗型の小豆餡をいれた薯蕷饅頭で、上部に鶴の焼印がある。
裏千家十代 柏叟好。
これは利休居士の室、宗恩女の紋所にちなみ、追悼の好みである。

(干菓子) 三つの鱗鶴模様が集まった意匠で、紅白二種あって、表千家の年々行事に使われる。鶴の形が瓢型に見える落雁仕立て。
表千家十二代 惺斎が金沢で好み、ほかに団扇型もある。


参考文献:『茶菓子の話』(淡交社)、『カラー 京都の菓子』(淡交社)。すべて鈴木宗康先生著



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