トップページ京菓子資料館> 和菓子のあゆみ:京菓子辞典

京菓子辞典


京菓子に関連した言葉について調べられます。
以下の分類別から選択し、文字をクリックして下さい。
季節別 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

50音別          

ジャンル別 歴史 主菓子 干菓子 菓子器関連 好み菓子

50音別  さ  

歴史
上菓子
じょうがし
今に伝わる宮中の年中行事には数多く菓子の基礎がある。
室町時代には、禁裡や幕府などに当時の最も秀でた原料と技術に拠って調製した菓子を献上していた。
京都の菓匠達が「献上菓子」「御用菓子」と称していたものが、いつの間にか略されて「上菓子」と呼ばれるようになった。
上菓子は、足利時代に糖菓がつくられて以来できた名である。
もともと砂糖は薬品として薬種屋が扱っていた。
御所羊羹・御所菓子・御所落雁などがある。
献上菓子は、蒸菓子と干菓子を組合わせた上菓子である。器もぜいたくを尽くしたもので、通櫃でも梨地、螺鈿、描金などを用い、盛菓子籠物は中身の菓子よりも何倍かの装飾を投じたものらしい。

  雑菓子
ざつがし
駄菓子ともいう。京都の上菓子司が使った菓子の呼び名。他に蒸菓子、干菓子がある。昔は、雑菓子は一般的な菓子で、白砂糖は使用していなかった。


神饌菓子
しんせんがし
神に供える菓子のこと。生饌と熟饌とに分けられ、実・枝葉・根などを生のままか火を通して、みずみずしく豊かなものが供えられる。
また、さげた供物を分けることを「直会(なおらい)」といって、これを戴くとご利益があるという。神饌菓子は、神の宿る品とも考えられている。
神饌の中央に松や花枝をさす風習は、神を神饌に迎え入れる作法である。


  節分
せつぶん
二月は、鬼やらい、なやらいなどともいって疫鬼を追い払う節分の儀式ではじまる。節分の夜に柊の枝に鰯の頭をつけて戸口にさし、豆を撒く。
その夜、京都の吉田神社には、全国の神々が集まるといわれ、毎年大勢の参拝者が詰めかける。
一夜明ければ、陰暦二十四気の一つである立春が訪れ、この日から暦の上では春になるのであるが、実際にはまだまだ肌寒い。
昔から、立春大吉などの符や聯(れん)を門々に張ったり掛けたりして、悪疫を除く風習がある。


主菓子 咲分
さきわけ
→ 此花

  下萌
したもえ
草の芽が萌え出るのを下萌という。
冬枯の野や路傍のかたわら、石垣の隙間などに緑の生命を見ることは力強い感じがする。
白い外郎皮の下からほのかに緑色が見える上品な菓子である。


  さわらび
こなし皮を三方よりよせ、二方の先を丸く蕨の様に仕立て、小倉餡を包んでいる。


  佐保姫
さほひめ
奈良の東にある佐保山が霞に染まるのを佐保姫という。
この春景色にちなんだ菓子で、紅餡を薄い外郎皮に包んで、山形に丸く作ってある。色が透けて見える優雅な菓子である。


  西王母
せいおうぼ
中国の伝説に、西王母の桃は、一つ食べても不老長寿といわれている。
紅色のこなしで桃を形どった玉子餡入りのものである。雛の節句に適した菓子である。


  十五夜
じゅうごや
旧暦八月十五日(中秋の月)で一年中でこの夜の月がもっとも澄んで美しいとされ、世界各国の月の見方も異なるといわれるが、古くより日本では月に兎の話が伝えられている。
薯蕷饅頭の天を焼いて兎の姿を残している。


 

早苗きんとん
さなえきんとん



  さみだれ
 

  清流
せいりゅう


  五月川
さつきがわ


  笹巻
ささまき


  涼風
りょうふう


  清流
せいりゅう


  そぼろ菊
そぼろぎく


  善哉餅
ぜんざいもち


  蕎麦饅頭
そばまんじゅう


  水仙餅
すいせんもち


  白雪
しらゆき
 

  珠光餅
じゅこうもち


  着せ綿
からにしき
 

  銀杏餅
じゅこうもち
しゅこうもち
正月の切餅を焼いた上に山椒味噌をつける。村田珠光が鏡開きの餅を使ってアイディアを出したらしい。そのためこの名が伝えられる。珠光好みあるいは珠光餅などと、誰かが後で勝手に名づけたらしい。記録にはあるが珍しくなく、珠光即座の思いつきであろう。


  仙家
せんけ
蒸羊羹で、外は小豆餡を使い、内部に小豆のつぶし餡を入れる。長さ21cm、巾4cm、厚さ2.5cmほどに仕上げた棹物である。
裏千家十一代 玄々斎好。


  三友餅
さんゆうもち
餡入り。求肥皮に外部に熬りケシをまぶす。2cmほどの直径の一口型である。
裏千家十一代 玄々斎好。


  芝の雪
しばのゆき
小豆の小倉餡を入れた小豆色きんとんで、上部へ白芋の裏漉しを散らし、雪に模す。
表千家十一代 碌々斎好。


  残月
ざんげつ
生姜入り煎餅皮。中に小豆の漉し餡を入れ、図のように二つ折りとする。煎餅の外部にスリ蜜をカスリ引きしたもの。
表千家十二代 惺斎好。


  早苗金団
さなえきんとん
緑色のきんとん仕立てで、小豆餡を用いる。上部に、琥珀糖の細かく、さい切りにしたものを少し散らす。
堀内家十代 不仙斎好。


  宗偏饅頭
そうへんまんじゅう
小判形のしんこ皮に漉し餡を包み、赤や黄青色に染めた飯粒が振りかけてある。
山田宗偏がこの饅頭が好きだったので、いつしかこの名がつくようになった。「いか餅」といって、伊勢庄野にあったものに似ており、野趣があっておもしろい。


干菓子
七宝
しっぽう
宝づくしの七宝を打物にしたすっきりした菓子である。


  笹むすび
ささむすび
熨斗結・千代結・万代結とともに結びは縁起よく喜ばれる。
笹むすびは他のものとちがって青と白のひきたつ色ですっきりとした美しさがある。


  里の曙
さとのあけぼの
落雁仕立てで、淡紅色。上部へ黒胡麻を散らす。
裏千家十三代 圓能斎好。


  四季糖
しきとう
白雪糖製で、紅白二種あり、2cm角で高さ1.2cm。二個をもって一組とする。
裏千家十一代 玄々斎好みとして干菓子中第一位のものであって、一種の菓子を以って銘柄により四季に応用できる。
春は咲分(=梅花)、夏は夕景色(=夕日の空)、秋は籬(まがき)の友(=菊)と称し、冬は室の花(=寒牡丹)と名づけて使い分けられる。


  鈴の緒
すずのお
社頭の鈴の緒を模し、ねじり棒とは趣を変えた紅白の有平細工である。


  笹の葉
ささのは
有平の葉は緑と白の細工であるが、ひねりかたでいろいろの形が作られる。千代結の緑白も、やはり笹を連想させる。


  菜花の月
さうかのつき
種煎餅を黄色く染めたものに味味噌を挟んだもので、春の野辺のおぼろ月を連想させる。


  早蕨
さわらび
青色の州浜製。長さ5cm、厚さ5mm、高さ1cmほどの、ざんぐりとした蕨型である。
裏千家十一代 玄々斎好。


  菖蒲
しょうぶ


  菖蒲皮
しょうぶひ


  杜鵑花
さつき


  白鷺
しろさぎ


  すげ笠
すげがさ
 

清流
せいりゅう
 

  聚楽
じゅらく
 

  睡蓮
すいれん
 

 
すずめ


  しめじ


  笹結び
ささむすび
 

  雪華
せっか
 

  稍の錦
しょうのにしき
楓葉形で、黄色の落雁製。
裏千家十一代 玄々斎好。


  さざれ石
さざれいし
漉し餡を丸くして、外に微塵に砕いた氷砂糖をまぶしたものである。


  如心松葉
じょしんまつば
蕎麦粉と肉桂・砂糖を原料として、長さ7.5cm、太さ2mmほどに焼き上げ、芥子を振りかけてある。香ばしい中に淡い甘味がある。
表千家七代 如心斎好。


  静海
せいかい
落雁仕立てで、白と水色の二種がある。
表千家十一代 碌々斎好。

菓子器関連
食籠
じきろう
もとは書院荘(しょいんかざり)の一具で、『御飾書』『君台観左右帳記』などにも荘られた図がある。蓋のある菓子器であり、客数だけ盛り込んで出すものである。形には大小高低があり、一定しない。菓子を入れ、蓋の上に一膳の菓子箸(黒もじ)を添えて出す。
唐物漆器や、青貝・堆朱・堆黒、また籠地などで立派なものもあり、重食籠もある。
和物ではそれらの写しや鎌倉彫・蒔絵のものあり、庸軒の食籠などは代表的で、宗旦好み内朱八角食籠は重ねで掛子(かけご)がついている。
陶磁器では、支那の万暦年製から乾隆へかけてのものや、また染付・交趾(こうち)・宋胡録(すんころく)などもある。日本でも多く作られ、楽焼も数多くある。食籠はだいたい蒸し物のような温かい菓子を賞味する時用いる。
表千家では菓子器として主に使用されるので、好み物も多数ある。

■ 食籠の扱い方
食籠には塗物と焼物との両種があり、お菓子によってみはからって用いる。
箸として黒もじ二本を添える。食籠はだいたい蒸し物の場合に適している。その場合、いちいち蓋をして取り回す。蒸し物以外の場合は、食籠の蓋だけ先に取り回し、末客が預かっておき、食籠の身のほうが回ってくれば菓子を取り、末客は蓋をして返す。
掛子付の食籠は、下の重に主菓子を入れてあるので、まず箸を懐紙に預けておいて蓋を取り、掛子をはずし、下の重の主菓子を取り、それに蓋をして、箸を拭って、箸をのせて次に回す。つづいて掛子の干菓子を取り、次へ回す。
菓子を取る時、食籠の蓋は自分の右横に取り、蓋はたいてい、表を下に置く。ただし蓋の表に傷つきやすい細工模様があれば、その他適宜にうつ向けて置く。
裏千家では歴代の好み物以外食籠はあまり使いない。
表千家は食籠の好みも多く、よく使用される。


  惣菓子器
そうかしき
⇒ 干菓子器

参考文献:『茶菓子の話』(淡交社)、『カラー 京都の菓子』(淡交社)。すべて鈴木宗康先生著



ページトップへ戻る