糖芸菓子

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ジャンル別 歴史 主菓子 干菓子 菓子器関連 好み菓子



季節別  2月  
主菓子 冬の山路
ふゆのやまぢ
山道はこなし製で、古くからある棹物。
三ヶ所ほどへこませて山なみを感じさせる。
白こなしと小豆色のこなしを外皮として、中央に小豆餡を包む。
これを小口切りにすると遠山の峯に雪をいただく感じがあらわれ、春や秋の山路とちがって木枯らしの厳冬の北風を感じさせる。
色彩的にしぶく暖かみのない色合いである。

  梅衣
うめごろも
薄紅色で花のしなやかさを表現したやわ肌のような餅に漉餡を包み、手際よく折りたたまれた菓子。
 淡彩色の餅菓子には茶味のある美しさがあり、梅の焼印によって引きしまる。

  鶯餅
うぐいすもち
餅をよく搗き、光が出るようになると、蜜または砂糖を食塩に混ぜ、青豆粉を振りかけて漉餡を包み、うぐいす型として端をつまんでいる。
中には青海苔粉をまぶしたものもある。
また、糯米(もちごめ)のほか、白玉粉を入れて搗き、同量の砂糖を入れて求肥状に煉り、餡を包む方法もある。

  此花
このはな
梅の花の異名を此花という。中は小豆餡を丸め、外は紅白のきんとんを染分けに着せて、紅梅白梅の美しさを見せている。
嘉永三(1850)年十月に裏千家十一代 玄々斎が好み、咲分(さきわけ)と銘された。同様のきんとんで黄色餡入りのものもある。

  咲分
さきわけ
→ 此花

  雪の梅
ゆきのうめ

白の求肥皮で紅餡を包み、取粉の代わりに上からごく細かい落雁粉を使用して、雪の中のほんのり紅い梅に見立てている。
裏千家十二代 円能斎好。

  懸想文
けそうぶみ
『伊勢物語』に「昔、男ありけり けそうしける女の許に」とあるように、懸想とは恋うること、恋慕することをいう。つまり懸想文とは恋文のことである。
 懸想文の風習は延宝の昔からあったもので、烏帽子に水干を着て袴に草鞋を履き、胸や背、袖に松竹の付け物をして守袋をかけ、梅の枝を持ち、その枝に懸想文を吊るして売り歩いた。それを貰った人は箪笥に入れると衣服がふえ、美人になるという迷信があった。
 この文をこなし餡でつくり、玉子餡で結んだ菓子である。

 
ます
四方形の薯蕷製で上に焼筋を入れ、豆枡の形に作られた菓子で、漉餡を包んでいる。

  稲荷山
いなりやま
二月のはじめの午の日、全国の稲荷神社で祭礼が行われる。それが初午である。
 この初午や二の午の茶会に、織部風の薯蕷に鳥居の焼印をつけた菓子を用いる。炮烙に玉の絵を書いて入れ、如月の取合わせにしてみると面白く、趣向の茶菓子となるだろう。

  こぼれ梅
こぼれうめ
(主菓子) 紅梅の花が一輪、二輪こぼれる風情を出した、こなし製の菓子で、紅色の表面にちらりほらりと梅花の型がつけてある。

(干菓子) 寒梅粉の打物で、梅花の裏面あり表面ありと、とりどりの花が紅白の梅に作られ、こぼれ梅を連想するような美しいものである。

窓の梅
まどのうめ
(主菓子) 下地窓に梅花を散らし、なんとなく早春の訪れを感じさせてくれる菓子である。
庵の松風の音を聞き、梅の香を連想するこの菓子は、薯蕷皮の四方形で、餡は漉餡で仕上げている。
また同名で、餅皮で小豆の漉し餡を包み、形を丸型に作り、上部の皮の中に大徳寺納豆を散らし込んでいるというのもあり、裏千家十二代 円能斎好みである。

(干菓子) 窓前香梅花の語句を想わせる。
吉野窓に梅花を浮き出した打物である。
冬至のころから咲く冬至梅は、季節的には正月ごろ咲き初める早咲きの梅である。

雪間草
ゆきまそう
花をのみ待つらん人に山里の
    雪間の草の春を見せばや    家隆

残雪の溶けた隙間から、芽ぐむ草を雪間草という。
利休居士愛誦の歌でもあるこの銘から萌出ずる草を緑色に仕立て、残雪を山芋のきんとんで作り上げた、茶味のある菓子である。

  下萌
したもえ
草の芽が萌え出るのを下萌という。
冬枯の野や路傍のかたわら、石垣の隙間などに緑の生命を見ることは力強い感じがする。
白い外郎皮の下からほのかに緑色が見える上品な菓子である。

  椿餅
つばきもち
日本最古の餅菓子の一つである。有名な『源氏物語』の「若菜」上巻に、「つきづき殿上へ、簀の子にわらしためしてわさとなへ、つばいもちひ、なし、かうしようのもの共、さまざまにはこのふたともにとりまぜ、わかき人こそほれり給ふ」とある。
この「つばいもちひ」は唐菓子の一つである「椿餅」のことである。
『源氏物語河海抄』に、「椿の葉を合わせ、もちひの粉にあまずらをかけて包みたるなり」とあるが、輸入された品そのままであるかどうかは疑問で、おそらく餅の性質からいって唐菓子とはかなり違っていたものと思われる。
 『名菓秘録』や『御前菓子図式』に粳(うる)米粉を狐色ほどにいり粉にして、罹会(きぬふるい)にかけ白砂糖を竹簾(たけどはし)にてふるひ三品を合せてよく手にてもみ合わせ少ししめりあるときに布をしめし甑(こしき)の内に敷き随分よく蒸し、杵臼にて右やはらかに成たるほどつき、椿の実ほどにまるめ上下椿の葉二枚にはさみてよし口中にてきゆるごとくにて味ひ至て上品なるものなり。
と記され、葉の中味は実の姿に思われている。
現在ではただ葉に餅がはさまれているように思うが、昔の人は実にたとえていたのである。
道明寺製の餡餅の上下に、先をちょっと切った椿の葉をあてたものがあるが、このようになるまでにはいろいろの苦心と考慮があったのであろう。

干菓子 ねじりぼう
ねじりぼう
紅白のねじりの有平糖を、社の鈴の緒に見立てたもの。
節分にも初午にも取合わせられる。

  梅鉢
うめばち
紋どころであるが、雅楽の太鼓の桴(ばち)の頭の玉に似ていて五本集めたところから梅桴の意でもある。

  里の曙
さとのあけぼの
落雁仕立てで、淡紅色。上部へ黒胡麻を散らす。
裏千家十二代 円能斎好。

  山路の梅
やまぢのうめ
白の落雁の上部へ大徳寺納豆を散らして、梅に見立てる。
裏千家十二代 円能斎好。

  四季糖
しきとう
白雪糖製で、紅白二種あり、2cm角で高さ1.2cm。二個をもって一組とする。裏千家十一代 玄々斎好みとして干菓子中第一位のものであって、一種の菓子を以って銘柄により四季に応用できる。春は咲分(=梅花)、夏は夕景色(=夕日の空)、秋は籬(まがき)の友(=菊)と称し、冬は室の花(=寒牡丹)と名づけて使い分けられる。

  絵馬煎餅
えませんべい

種煎餅に砂糖蜜をつけ、玉の絵を焼いている。
稲荷山に因んだものである。

  鈴の緒
すずのお
社頭の鈴の緒を模し、ねじり棒とは趣を変えた紅白の有平細工である。

  ねじ梅
ねじうめ
梅を愛する心は万葉の昔からあり、
  雪の色を奪ひて咲ける梅の花
     いま盛なり見む人もがも

などと詠まれ、花の兄、此の花、好文木、未開紅の別名も菓子の銘にとり入れ扱われている。
この菓子は打物で、紅梅と白梅と両方がつくられる。
寒梅粉の打物に梅肉を入れる場合もあるが、ねじ梅の型をした紅白の二種を打ったものである。

  笹の葉
ささのは
有平の葉は緑と白の細工であるが、ひねりかたでいろいろの形が作られる。千代結の緑白も、やはり笹を連想させる。

  霞三盆
あられさんぼん
玉霰の美林のように、和三盆を小粒にして霰様に仕上げたもの。

  こぼれ梅
こぼれうめ
(主菓子) 紅梅の花が一輪、二輪こぼれる風情を出した、こなし製の菓子で、紅色の表面にちらりほらりと梅花の型がつけてある。

(干菓子) 寒梅粉の打物で、梅花の裏面あり表面ありと、とりどりの花が紅白の梅に作られ、こぼれ梅を連想するような美しいものである。

  松葉
まつば
緑色で松葉型を有平糖で作る。

  枯松葉
かれまつば
茶褐色の松葉を有平糖で作る。緑の松葉と違った趣で、茶席に適した味わいがある。
同じ材料でも、店によっていろいろの形がある。

  一休寺
いっきゅうじ
豆の粉の香ばしい味と大徳寺納豆(味噌納豆)をちらせた、通い路風の干菓子である。
これに枯松葉をそえれば、敷松葉の路地を感じさせる。

参考文献:『茶菓子の話』(淡交社)、『カラー 京都の菓子』(淡交社)。すべて鈴木宗康先生著


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